君の名は絶滅キング！　世界を滅ぼすのは君だ！
業界初の世界滅亡恋愛シミュレーション！！
絶滅キング
――世紀末淫乱狂想曲――

JAM

操作性
ワンプレイは４〜５時間、操作性はまぁまぁといった所。
マウスをクリックする回数が多めで指が疲れるというのはありましたが。

これは、タイトウ区のMAPを歩き回ってターゲットである7人の女の子をナンパして、
デートの約束を取り付けていくというゲームのシステムがまずあります。

加えて、データボタンやステータスボタンを押すと
全画面ならゲーム画面の上に（縮小されたサイズならバックグラウンドの壁紙上に）
データウィンドウやステータスウィンドウがポップアップしてくる仕様が
マウスの移動回数やクリック回数を増やしていたからです。
それらのウィンドウはキーボードの操作を受け付けませんしね。

「絶滅キング」に限らずJAM製（というかストーンヘッズ系）ゲーム全般に言えるのですが
これらウィンドウなどの操作性にはまだまだ改善の余地があると感じます。
まぁ、２００７年現在JAMは「絶滅キング」を遺作にした
過去形のブランドなんでこんな事いってもあまり意味がないのですけどね……（泣）


音楽
OPテーマとEDテーマを含めて全１０曲。
全体的にレベルもテンションも高めで、
ロック調の曲が多い気がします。

好きな曲を上げるとすると
マップ上などで流れる「絶滅のテーマ」
「夏だ！！プールだ！！絶滅だ！！」でしょうか。

インパクトの点でいうなら大陸が崩壊していくシーンで流れる
「人類絶滅進行中」も忘れがたいんですけどね。


システム
基本的には、シンボルアイコンが表示されるマップ「タイトウ区」の
アサクサ・オカチマチ・ウグイスダニ・ウエノ・ナミダバシといったエリアと
そのエリアの中にあるウエノ公園、ヨシワラ歓楽街、喫茶店、バーといったポイントを移動して
女の子と会話やデートを繰り返して好感度を上げていくゲームです。

基本的には同級生をベースにしたと言って良いシステムで
マップのどこに女の子がいるのかは行ってみないとわかりませんし、
セーブが自宅限定というのも同じで移動時間や所持金、好感度の概念もあります。

加えてアイテムのプレゼント＆装備、デートの要素、
新しい場所に行ける様になるには登場人物に教えてもらう必要がある、
さらには深夜零時を過ぎると主人公が寝てしまう行動時間制限等があるので
本家の同級生以上に、よりSLG的な側面が強いといえるでしょう。

シナリオ上の展開よりも、どちらかというと好感度の上げ下げが重要という点
（あくまで、どちらかというと、ですが）でも
エロゲの恋愛ADVよりも家庭用の恋愛SLGに近いイメージですね。
もっともメーカー自らが取説で、恋愛SLG風アドベンチャーゲームを名乗っているので
狙ってこのようなゲームデザインにしたのでしょうね。


「人類絶滅までの道のりは遠いのだ！」
難易度的にはかなり難しい部類に入ります。
なぜかというと、期間中に全ヒロインを抱いて地球を滅ぼさなければ
問答無用にゲームオーバーという仕様なのでヒロイン別EDを迎えたい場合も
１ヶ月の間で他ヒロインとの同時攻略を行わければいけないという縛りがあるからです。

もちろんお目当て以外のヒロインは抱きさえすればOKですし、
一応すぐにHに持ち込める魔淫石といったアイテムもありますが
それを作るのにも一定日数かかるので、結局はEDを見るのが簡単なヒロインでも
かなりキツキツなスケジュールをこなすことになります。

なにも考えないでプレイしていると大体一人が二人逃してしまうので
詰め将棋的な攻略を必要とするゲームですね。

逆に言うと、適当にプレイしても後一歩！という所まではいけるので
難しいになりに良く練られた絶妙なバランスであるとも言えるでしょう。
なんというかプレイヤーをムキにさせる難度なんですよね。
難しいけどもう一度プレイすればクリアできそうと思わせる難しさなんです。


設定・シナリオ
俺様の名は絶滅キング。

俺様の生みの親は宇宙の意思とかいうヤツで、「神」だとか呼んでいる連中もいるらしい。
その宇宙の意思がいうには、俺様は地球を絶滅させるための存在なんだそうだ。
だから絶滅キングなのか？　安易なヤツだ。

なんでも地球とかいう星には、人類とかいう生物が好き勝手にやっているらしく、
宇宙の意思はそこが気に食わないらしい。
そこで俺様の出番というわけだ。なにしろ俺様には人類を滅ぼす能力が備わっている。

その方法とは単純明快。
日本国タイトウ区在住の７人の女と
SEXするだけでいいのだ！！

しかし地球の女どもは、そう簡単に股を開いてくれないらしい。
そもそも俺様は人類を滅ぼす能力は備わっているが、
女に股を開かせる能力など、備わってはいないのだ。
悲しいことに、俺様は人類を滅亡させる以外は、
人類とそんなに変わらない作りになっているらしい。
…つまり女とSEXするためには、
人類の男と同じくまずナンパから始めなくてはいけないのだ！！

宇宙の意思が定めた期間はわずか１ヵ月！！
果たして俺様は１ヶ月の内に７人の女とSEXすることが出来るか！？
…っていうか、するのだ！！


スタートから随分突拍子がなくてテンションが高い話なのですが
ゲーム中のノリはヒロインを抱くたびに一つ一つ滅亡していく大陸や
様々なパロディが詰め込まれたイベント群のおかげで
スタート以上にテンションが高いものに仕上がっています。


パロディとしてパッと気がついたのをあげると、
例えば
・主人公の家があるナミダバシとダンペイのおっさん
（あしたのジョー）
・黒服を見て「俺様を捕まえにきた地球人の秘密結社だな！」
（神聖モテモテ王国）
・二周目以降に買えるアイテムで、ヒロインの好感度がわかるス○ウター。
（ドラゴンボール）
・オーストラリア大陸滅亡がコロニー落し、ちなみに欧州滅亡は東宝怪獣大集結
（機動戦士ガンダム）
・「俺様は三秒あれば眠りにつくことが出来る！」
（ドラえもん）
とかでしょうか。


主人公・絶滅キングはエロゲの古き良き（？）ハチャメチャ主人公に属するタイプで
無駄な自信と圧倒的な行動力、そして人間界の知識には疎いという奇人です。
それに対してヒロインたちは基本的に常識的な範囲で個性的な形になります。

しかしゲーム中は、むしろキングの方がヒロインたちに
良い様に振り回されていてそのあたりにも面白みがある作品です。
面白いといえば７人のヒロインの平均年齢が高めなのも面白いですね。

ただタイトルから受ける印象のように淫乱な展開はないのでそのあたりには注意が必要かもしれません。
狂想曲というのは言い得て妙なのですが。


独創性
2000年になって高らかにナンパゲームであることを謳いあげた珍ゲー。

それはともかく、タイトウ区を舞台にした独特の泥臭さや
（移動マップに実在の地名が並んでいるのも
発売時期を考えればなかなか珍しいといえます）
ゲーム中を貫くテンションの高さが最大の独創性でしょう。
あと全員同時攻略必須というのもこのゲーム特有の要素ですね。

ちなみにパッケージの箱のセンスは最悪という意味で独創的…。


全般
難易度など評価に困る部分もありましたが、
イベントや台詞などには練りこみ・作りこみ・センスを感じさせる部分も多く
十分傑作と言っていいのではないかと思ってします。

何度もゲームオーバーを繰り返しながら、ものの見事にはまりましたしね。
タイトウ区という下町独特の雰囲気と主人公・絶滅キングのテンションなどがまざり
プレイヤーをぐいぐいひっぱっていく強烈なパワーがあるゲームです。

点数は８か９かでかなり悩んだのですが……。
ブランドとしてもシステム的にも他様々な意味でも
２００７年現在となってはもう見ないものに対する懐古を含めました。


得点９点

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