――世界が夢に溶けこもうとしている――
ナイトデーモン
-夢鬼-

Alice Soft

操作性
ノベルタイプのアドベンチャーゲーム。
表示されるコマンドの中から主人公の行動を選択することが多いですが、
行動選択以外の選択肢は少ないですし、特に意識しなくても問題ないでしょう。

ＣＧ閲覧、シーン回想、サウンドモードといった機能はありますが、
サウンドモードは一度トゥルーＥＤを迎えないと開けません。
文字表示に関しては読み返し機能はありますが、
既読スキップはなく、全スキップのみとなっています。


音楽
ジャズやロック調の曲が多いです。
出来は可もなく不可もなくといった所。


システム
画面下部のメッセージウィンドウに表示される文章を読み進め、
時折現れる選択肢を選んでいく極々一般的なノベル型ＡＤＶなので
これ以上書くようなことは特にありません。


設定・シナリオ
それは突然現れた。

空に稲妻が走るように、
線から帯へ、ピンク、イエロー、グリーンと
混濁したパステルカラーの別の何かが姿を現した。

空に生まれた別の何か――
後にツヅキと呼ばれるものが世界に訪れた日…

ツヅキはいつも、前触れなしに突然空に現れる。
固定された一カ所ではなく、世界中の空に現れては、消え、
また気まぐれに現れる。

そんな、気まぐれに発生する事象とほぼ同時期に
不可思議なイキモノがこの世界に現れ出した。

その姿は人と変わりなく、
あらゆる人語を解し、喜怒哀楽を持つ。

だけど、人間とは明らかに何かが違うモノ達。

そのイキモノをいつしか人々は畏怖の念をこめ、
夢鬼（ユメガミ）と呼ぶようになった。


ストーリーにこれといった変化や動きがなく、非常に単調です。
なぜストーリーが動かないかというと、
主人公の行動にこれといった目的意識がない点が問題だったように思います。

それに何か特別なことをするというわけでもないため、
目的もないだらだらとした日常が延々と続いていくばかりで、
ストーリーの起承転結がまったく見えないという悪循環に陥ってしまいました。

「ツヅキ」とか「夢鬼」といった
怪奇現象が発生しているという世界観なのですから
物語冒頭から「ツヅキ」を追っかけているみたいな話が欲しかったです。
そういうことはサブキャラであるメインヒロインの親父がやってるらしいので
主人公と親父の立場を入れ替えればよかったんじゃないかと。
そうすればイマイチ唐突感のある「ツヅキ」や「夢鬼」といった言葉も
もう少し上手に作中に取り込めたのではないかと思います。


個人的に非常に気になった点について幾つか。
ストーリーが進んでいくと夏から春まで順々に季節が移り変わっていきますが、
ゲーム中「何月何日」といった表記はなく、
また季節イベントといったものも全然ないため
わざわざ春夏秋冬を表記する必要があったのか、疑問が残ります。

あと「黝簾（ユウレン）」とか「吹留 夜深（ヒイドメ ヤミ）」とか「瑠紫琉（ルシル）」のように、
日を改めてゲームを再開すると読み方がわからなくなるような人名は勘弁して下さい。


独創性
特になし。
強いて挙げるとすれば、登場キャラが春夏秋冬毎に細かく衣装が替わる点が
ノベルＡＤＶでは物珍しいところでしょうか。

ただ、ゲームシステムやシナリオを見る限り
場面場面をわざわざ春夏秋冬にわける必要性を感じなかったので、
これはゲームシステムやシナリオ上の要請ではなく
キャラクターの着せ替え「そのもの」をやりたかったんじゃないかと。


全般
自分の感覚ではこのゲームは長い方に入ります。
ボリュームの割に起伏が無い日常の描写量が多くて退屈なゲームでした。

一番の目玉はおかっぱの和服娘がいることでしょうか（笑


さて、ビックリするほど短いＡＤＶと、たるくて長いＡＤＶ。
プレーしたゲームにも色々ありましたが
どちらが良いかという選択については判断に困りますね。

まあ「理屈」で言えば、長くても面白いというのであれば何の問題もないはずなのですが。


得点６点

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