この人の手を離さない。
僕の魂ごと離してしまう気がするから。
ＩＣＯ

機種	プレイステーション２
発売（開発）	ＳＣＥ
発売日	２００１年１２月６日発売
価格	５８００円
備考	ＣＤ−ＲＯＭ　１枚

操作性
アングルが問題。
とんでもない所で滑落死するはめになった所が何ヶ所かあったのが気になる。
それ以外はキャラクターの反応も良好で特に気になる事は無かった。


音楽
風の音や水の音、歩く音、イコの呼び声などの自然の音響を意識した効果音が美しい。
数少ない幻想的な音楽も同様。
「静寂の脱出アドベンチャー」のキャッチコピーは伊達では無く、
静の魅力と広さを持った空間を作り出しています。
ちなみにエンディングで流れる大島ミチル氏によるテーマソングは寂しくも美しく、
名曲と呼ぶに相応しい出来映え必聴です。


システム
主人公のイコ君を動かし囚われの少女を連れ、
霧の城から逃げ出すパズル要素が強い３Ｄアクション。
パズルの難易度はちょうど良いが、ヒントなどは総じて曖昧。
チュートリアルなど一切無しで、いきなりほっぽり出すのは不親切。
ＩＣＯの独特な幻想的な雰囲気を最優先に考え、
それ以外を切り捨てている弊害のためしょうが無い所でしょう。


設定・シナリオ
宮崎駿監督の映画や『ナルニア国物語』などの、
ファンタジーの古典作品を彷彿とさせる独特で物悲しい幻想的世界観が特徴。
マニュアル、パッケージ、ＣＤ上の絵などを含めて全てが、
世界観を表現する為に貢献していると言う凝り様はすばらしいの一言。
ストーリー自体はベタと言うか、
王道と言うか複雑なシナリオではなくとても判り易いものです。
もちろん意外性は微塵も感じられません。
しかし圧倒的な存在感を誇る城の風景や、
大半の時間をイコと共に冒険する囚われの少女ヨルダの存在が大きく、
終盤の盛り上がりの凄まじさの中ただただ感動するしかありませんでした。
昨今の無理矢理にでも感動させようとするような作品に、
違和感を持っている人にもお勧め出来ると思います。
他にはセーブポイントがソファーという事やパッケージが超現実派の、
「ジョルジョ・デ・キリコ」のイメージという辺りに製作者のセンスの良さを感じます。
とくに後者は、まるで姉弟の様ながらも脆い２人の絆、
そしてそれをひたむきに守るには２人共あまりにも弱い存在と言う事実。
それらを端的に描ききった乾いたイラストでした。


独創性
パズル的要素の濃い３Ｄアクションゲームで、
ストーリー自体もベタではあるものの、雰囲気の構築の上手さは特筆もの。
映像に関しても同様で、単純に美しいというより雰囲気が良い。
IＣＯという独特の世界を見事に作り上げている。
世界観のために文字やゲーム的な画面表示を極力抑えており、
素晴らしい効果を発揮しています。
この幻想的な空間を体験するためだけでも、
このゲームをプレイする価値があると思います。

全般
世界観を最優先にして不要な要素は全て切り捨てている為、
世界観が肌に合わない人お断り的な印象があります。
しかしすべてが無駄なく世界観を構成している為、
恐ろしいほど美しく完成度の高い世界がゲームの中に広がっています。
画面写真やＣＭ、イラストが気に入ったならば、
一度手に取りプレイしてみて欲しい作品です。

得点９点

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