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元祖・恋愛体験シミュレーション！
きゃんきゃんバニーPrimo

カクテル・ソフト

操作性
1989年にカクテルソフトのデビュー作として発売したPC-88及びPC-98用ゲームソフト『きゃんきゃんバニー』のWindows移植版。
タイトル名は「きゃんきゃんバニーPrimo」と「きゃんきゃんバニー1 Primo」でマチマチですね。
パッケージなどでは前者でしたが、オフィシャルホームページやウィキペディアなどでの表記は後者になっています。

きゃんきゃんバニーシリーズというと、「きゃるーん☆」の口癖で知られる弁才天・スワティが有名ですが、
スワティが登場したのは、実はシリーズ４作目「プルミエール」から。
１作目「きゃんきゃんバニー」から３作目「スピリッツ」までのナビゲーターは「亜理子(アリス)」というキャラクターが担当しています。
もっとも、１作目はバニーガール風のデザインで、明らかにタイトルの由来になっているハズが、
２作目「スペリオール」以降はどういうわけか「不思議の国のアリス」のアリス風に変更されています。

リメイクにあたってのオリジナル版との相違としては、グラフィックを原画から一新、MIDI音源、フルボイスなどがあります。
また「きゃんきゃんバニー」から「リミテッド５ 1/2』までの、きゃんバニシリーズのダイジェストなどを収録した「きゃんきゃんバニーヒストリー」のCD-ROMを同梱。


『きゃんきゃんバニーPrimo』そのものについては、女の子を口説いてＨするアドベンチャーゲームですが、
会話の中で複数のパラメーターを制御していくというＳＬＧ色が強い構成になっています。
また、ナンパシーンでは画面クリックとコマンド選択の併用な点も特徴。

操作はキーボードだとカーソル移動ができないのでマウスが基本。
文字表示などに関しては読み返しといった機能はなく、メッセージスキップは全スキップのみですが、
テキスト量の多いゲームではないので問題ないでしょう。

ＣＧモードとサウンドモードはありますが、シーン回想はありません。
そのほかの機能として、おまけボイス試聴ができます。


音楽
明るい曲が多いです。
この中では、とぼけていてどこか胡散臭げな「亜理子（アリス）のテーマ」、
コミカルで軽いタッチの「ショップのテーマ」が印象に残っていますね。


システム
７日間までに女の子を口説いてＨするのが目的。

一日は主人公の部屋から始まりますが、
外へ出るとワールドマップ上に５人のヒロインとショップのアイコンが表示されます。
ヒロインのアイコンをクリックするとそのままナンパシーンに移り、
ショップをクリックすると女の子にプレゼントするアイテムを購入したり
ミニゲームに挑戦して景品を入手したりできます。

１対１で向かい合った状態から始まるナンパシーンは
コマンド選択と画面クリックの２つを使います。

ヒロインには「親密度」「好感度」「興奮度」という３つのパラメーターが、
主人公には「興奮度」「熟練度」という２つのパラメーターが存在し、
主人公の興奮度が上がり過ぎると越えると先走ってナンパ失敗となりますが
熟練度が高いと興奮度の上がり方が抑えることができます。


はっきり言って、難易度は高いです。
コマンド選択式と画面クリック方式（クリックカブル）の混合であることがまず１つ。

加えて、同じコマンドを何度も選んだり同じ場所を何度もクリックしたりすると好感度が下がる。
会話中に表示される３択に新密度や好感度が下がる選択肢があるだけでなく、
一発でナンパ失敗になる選択肢が出現することもある。
更に、ヒロインが脱ぐと主人公の興奮度が上がり始め、
上がり過ぎるとやっぱりナンパ失敗になるなど、色々シビアです。


設定・シナリオ
ベランダから夜空を見上げながら
「恋人が欲しいな…」とたそがれていた主人公。
そんな主人公の元に突如空からウサギ耳の女の子から舞い降りてきた。
女の子は「亜理子（アリス）」と名乗り、
偶然にも主人公の願いが届いたために鏡の国からやって来たらしい。
半信半疑の主人公に対し、亜理子は「鏡魔法の手帳」という手帳を渡す。
素敵な恋人を作るには女の子との相性「赤糸縁（せきしえん）」が一番大事で、
鏡魔法の手帳には赤糸縁を自由に変更できる効力があるという。
手帳の有効期限は７日間。
果たして主人公はこの７日の間に恋人を作る事ができるだろうか？


渡されるのはラブノート未満のフレンドノートとはよく言ったもので
女の子を口説いてＨする、これ以上でも以下でもない話です。
ちなみに亜理子とのＨはなく、ショップのお姉さんを口説いたりする事もできません。
（ショップのお姉さんとのＨはありますが）

つーか、ナンパが失敗し続けると、
毎日のように記憶を消されるハメになる主人公の身は大丈夫なのか！？（笑


独創性
1989年に発売されたPC-98用（正確にはPC-88用）ゲームソフトのリメイクで、
“昔”のエロゲーらしく、オープニングからして主人公諸々が非常にハイテンションです。
例えば、オープニングでの主人公と亜理子のファーストコンタクト。



    

        
【高橋雅一】（主人公・名前変更可）

「な、な、なんだこの女の子は？

　空を飛んでたみたいだし、頭から生えてるウサギみたいな耳はいったい‥‥

　まだ１３才位かな？　可愛いけど、守備範囲外だなぁ‥‥」

【女の子（亜理子）】

「もぉ、初めて会う女の子をジロジロ見回すなんて中年のオジサンみたい。ヤラシィ〜」

【高橋雅一】

「オ、オジッ、それよりもキミは？　それにどこから？」

【女の子】

「いいじゃない、そんなコト」

【高橋雅一】

「いいって言われても、恋人を前提としてお付き合いするなら、常識ある娘の方が‥‥

　あと、幼すぎるし‥‥」

【女の子】

「ヤレヤレ‥‥いちいち細かい事ばかり気にしてるから恋人できないのよ」

【高橋雅一】

「う、うるさいな。キミには関係ない事だろ」
    


また、ナンパ中の選択肢でも
『その制服、馬子にも衣装ってやつかな』『その制服、ＡＶ女優みたいでいいね』、
（ポニーテールの髪型を見て）『どうでもいいけど馬の尻尾だな』、
『ソファーの上じゃないと欲情しないだろ』といった、
かなり容赦のないセリフがあったり。


そして、極め付きは主人公の興奮度が、
上がり過ぎた場合でのナンパ失敗時の亜理子のコメント。


    

        
疲れた身体を引きずって、俺は自分の部屋まで戻ってきた。

【亜理子】

「ヤッ、こんにちわ」

【高橋雅一】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥〔反応する気力無し〕」

【亜理子】

「どうしたの？　えらく疲れてるみたいじゃない」

【高橋雅一】

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥〔答える気力も無し〕」

【亜理子】

「ア〜、おいしいお茶」

【高橋雅一】

「‥‥‥‥〔勝手にくつろぐなって突っ込む気力も無し〕」

【亜理子】

「‥‥‥ソーロー」

【高橋雅一】

「亜‥‥亜理子、見てたのか？」

【亜理子】

「ええ、もうバッチリと。

　女の子を口説きに行って、先走っちゃうなんてなっさけなーい！

　キャハハハハハッ！！」
    



ヒロインを脱がせたのにも関わらず、ここまで貶されるゲームも珍しい（笑
ちなみに、そもそも脱がせられなかった時はこういう嘲笑はされません。
（だからと言って、労わりの言葉をかけてくれるというわけではありませんが）

ナンパに失敗した主人公を嘲笑するというのは、
スワティと一緒にやって来る七福神の残り６人も確かやってましたね。
これだけお膳立てしてやってもモテない主人公　m9(^Д^)プギャーって感じで。

上の亜理子のセリフについても、なんかこのＡＡっぽいですしね。
肝心のシーンでは七福神達ですら気を利かせるのに、コイツときたらw

裏を返せば、亜理子の役割が縁結びのスワティと嘲笑する七福神に分割された辺りに、
亜理子がリストラされた理由が隠されているんでしょう。


全般
“死んで覚えろ”的な失敗前提の高難易度のゲームです。
ツボを抑えた、とってもムカつく亜理子の容赦無き嘲笑に、
ようやく慣れてくる頃やっとクリアとかそういう感じの作品です。

とはいえ非常に面白いゲームです。
次はクリアできそうだと思って、ついついプレイしてしまう点が最大の魅力です。
かく言う筆者も、も鼻先にニンジンをぶら下げられた馬のような遊び方をしてしまいました。
そういう意味では、ゲームバランスも高難度ながらも安定していると言えるのかもしれませんね。


ところで、Ｆ＆Ｃはきゃんバニシリーズに代表される
ＤＯＳ時代のゲームのリメイクや復古販売とかをやらないですかね？
特にきゃんバニシリーズはPiaキャロ以前のＦ＆Ｃの代表シリーズですし、
その他のゲームについても非常に興味があるんですけどね。

如何せん、きゃんバニシリーズでWindows対応なのは
この『Primo』以外だと「プルミエール２」と「6 i・mai」だけですし。
「プルミエール」などのサターン版は、今もわりと手に入りやすいのですが、
ストーリーとかも家庭用向けにマイルドになってますから悩み所。
（自由民党総裁とか……）

マイルドになっているのには、あまり興味がないんですよねぇ。


得点８点

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