大地に死せる死者よ。この闇に蘇れ。
彼の娘を生贄にせよ。
けがれた英雄
〜邪淫聖女狩〜

CLOCK UP

操作性
あまりにも端折られたストーリーと、
スプラッターに充実したＨシーンが有名なアドベンチャーゲーム。
マップ上に表示されたシンボルアイコンをクリックする移動画面もあります。

全スキップ（否・既読）やメッセージの再表示、
ＣＧモード、回想といったものはすべて備えているのですが
全体的に動作がもっさりした感じで使いにくい印象ですね。
あとオマケのシーン回想で、どれかシーンを選ぶとその度に
シーン回想の先頭ページに戻されるたりするのもマイナス。

クリアまでにかかる時間はおおよそ３時間。


音楽
全体的にレベルが高いと思います。
夜戦という言葉にふさわしい、格好良い曲が揃っています。
プレイ時間に比べて曲数も非常に多く、全３６曲にも上ります。
この項目に関しては大作志向の印象が強いですね。

曲名がわかる中では、
「NIGHTMARE」
「BLACK MARCH」
「CHASING THE DRAGON」
あたりがお気に入りですが、
まぁ、これらは全部オフィシャルで試聴できる曲だから
曲名が把握できたわけなのですが…。


システム
マップ移動＆選択肢型のマルチエンディングＡＤＶ。

お城に潜入した主人公の目的は、魔王復活の生贄となる皇女を誘拐すること。
その為には、皇女と帝都を守る為に集結した四天王＆副将たちを倒して、
彼女たちが組み上げた強力無比な結界を破る必要があります。

その結界を破る為に、身を偽って城内に潜入した主人公が
昼には城内を一日二回ずつ徘徊しながら、破壊工作やフラグ立てなどをしつつ、
夜には両腕に宿るエロ悪魔のダムゼルとゼトロに身を委ねて外から襲撃をかける。
このようなサイクルを三日間繰り返すことになります。


こう書くと非常にＳＬＧぽいですし、実際ＳＬＧやＲＰＧの方が向いてる
設定やストーリーだと思うんですが…
いかんせんこのゲームはＡＤＶなんですよね。

その設定とシステムの食い合わせの悪さが
ストーリーのアレさ加減に拍車をかけてしまった感があります。
ＲＰＧやＳＬＧとして、主人公の話を縦糸のメインストーリーに据えて、
ヒロインの固有イベントや色々なサブイベントを横糸にして
様々な角度からメインストーリーに絡ませるというのなら
あそこまで端折った展開にはならなかった気がします。


設定・シナリオ
主人公はかって闇との闘いで活躍した光の英雄だったが、今は闇に身をやつしていた。
魔王に最愛の妹を惨殺された彼は、魔王を復活させた上で復讐しようとしていたのだ。

数百年後、闇の軍勢を使い帝国軍のほとんどを辺境に釣りだし
魔王復活の生贄になるトリスティーナ皇女誘拐まであと一歩まで迫った。
そんな彼の前に、かっての仲間を含む帝国の四天王が立ちはだかる。
徐々に“魔素”に犯され、闇に落ちてすさんでいく心。
あと僅かな時間しか心を保っていられない今、“勇者”が下す決定とは…。
果たして彼の復讐は遂げられるのだろうか。


ストーリーの起承転結には、くれぐれも期待しないように（笑）
大まかなストーリーだけみると、えらく壮大と言うか凄そうなお話なんですが…
様々な野望や陰謀が渦巻く世界の存亡をかけた数日間という題材が
そもそもノベル型ＡＤＶ向きのストーリーじゃないんですよね、これは。
（ＡＤＶというのは主人公の一人称中心になるので
どうしても推理物の様に、限られた空間・狭い人間関係に強いのがメリットですからね）

案の定というか、なんというか
話の規模が大きすぎる上に、いろいろな設定を詰め込みすぎて
まったく収拾がつかない状態になってしまいました。



しかも、ゲーム内期間が三日！
三日でどうやって収拾つけるつもりだったのか？
本気で収拾をつける気があったのか？
作ってる段階で、設定削れよという人はいなかったのか？
色々と、製作者の方に聞いてみたい気もします（笑）

その結果、数百年にわたる復讐をあっさり投げたりとか
懸案されていた事体がそんなあっさり解決していいの？　とか
ヒロインがちょwwwwなんでそんな事知ってるのwwwwwww　とか
そんな突っ込みがいのあるシナリオばかりという、かなり微妙な出来栄えになっています。

なんというか、打ち切りが決まった漫画ぐらいの勢いなので、そのつもりで。
ここまで突き抜けていると、ネタとしては面白いかもしれません。


ただ視点を変えて、エロとグロとバイオレンスという方向から見ると中々の秀作。
様々な設定やら登場人物をふんだんに盛り込んだだけあって、純愛から陵辱輪姦まで、
モンスターの孕ませや触手や針など数も種類も豊富で沢山ありました。
良い意味で、ねちねちと嫌らしい出来栄えでしたね。


独創性
普通のＡＤＶなんで特には。


全般
物語をスタートさせるにあたってのシチュエーションの格好よさ、音楽のレベルの高さに加えて
シーンごとのエロ・グロ・バイオレンスっぷりは生半可な自称伝奇を簡単に凌駕するほど、
どれもが質・長さ・数全てにおいて素晴らしいものです。
そのように部分部分では非常に見所がある作品ではあるのですが、
いかんせん、ストーリーの起承転結が超展開すぎるのが最大の難点。

実は主人公のクローンが何人も居て、プレイヤーの知らない所で
ヒロインとフラグをたてたりシナリオを展開してる……
などとと解釈するしか整合性がとれないレベルですから（笑）

それだけにとても惜しい、残念な作品だと思っています。
綿密に練られた設定をベースにした壮大なストーリーと
ボリュームたっぷりのエログロバイオレンス、
さらにはハイレベルで数も多い音楽などを融合させた超大作を目指して
志半ばで派手に倒れた（主にストーリーで）感があるだけに尚更です。
太く短く、倒れるなら前のめりみたいな姿勢は結構好きなんですけどね（笑


まぁ、このゲームの場合、根本的な問題として
ＡＤＶに向いているストーリーだからＡＤＶで作る、
或いはＡＤＶで作るからＡＤＶに向いているストーリーを考える
といった姿勢が完全に欠如していた部分が上げられます。
ゲームを製作するという意識が弱いがために
ＡＤＶというゲームジャンルのメリットデメリットを何も考えずに
ただ書きたいものを書いたがためにシナリオとシステムが齟齬をきたして
派手に自爆してしまったと言えます。

それだけにＳＬＧやＲＰＧとして作った方がもっと化けたんじゃないかと思います。
もっともクロックアップさんにゲームバランスの調整やフラグ管理等の
ノウハウ・スキルがあるのかというのは、また別の問題なんですけどね。

得点７点

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