LOVEのゴングが聞こえてくる。
Lag．
r（aaru）

操作性
コマンド式の格闘パートが存在するADVゲーム。
画面構成は左に登場人物の全身イラスト、右上に背景とイベントグラフィック等
右下にメッセージウィンドウという形になっています。

つまり操作まわりはいつものアアル仕様。
バックログなしで全スキップのみです。
いつもの事ながら動作が軽いのはありがたいですね。

クリアまでの時間は2〜3時間といったところ。


音楽
出来はボチボチ。
「曲０５」のイベントバトルで流れるやつが好きです。


システム
このゲームはゲーム内期間が2年（ちょっと自信ないけど多分）
トレーニングを繰り返し主人公の能力を高めながら
その合間にヒロインと会って好感度を上げて過ごしていきます。


「トレーニングとスケジュール」
ゲーム本編では、まずそれぞれの月の初めに、
その月に主人公が行うトレーニングの種類を選択します。

「地道に身体を鍛える」を選択すると、
その月の末に一定の経験点を得ることができます。
「スパーリング重視」を選択すると、
その月の末に自分の影と戦闘することができます。
この戦闘の結果によって、得ることのできる経験点の値が変化します。
またこの訓練を選択すると新しい技をいくつか習得することができます。

経験点がある一定の値に達するとレベルアップすることができ
レベルアップすると、そのレベルのポイント分だけ
好きなように能力値を上昇させることができます。

月の初めにどのトレーニングを行うか選択した後は、
その月のそれぞれの週に、主人公がどんな行動をするかを決定します。
「特定の女の子に会いに行く」「なにもしない（特訓するので経験点が入る）」
「能力値を見る」の中から選びます。
選んだ行動が終了するとその次の週に進むことになります。

つまり
その月のトレーニング決定→その週の行動決定×４→月末にトレーニング実行
というのが一か月の内容になります。


「戦闘パート」
シナリオの途中でイベント戦闘が発生します。

戦闘は10ターンの制限時間があり
「攻撃」「防御」「挑発」の三つの中から行動を一つ選択していきます。
上段中段下段いずれかの耐久力がゼロになると敗北です。

「攻撃」は相手を攻撃するコマンドで
自分が使用可能な技の中からひとつを選択していきます。
技によって上段・中段・下段のいずれを攻撃するかは変わってきますので
事前にしっかりと主人公をカスタマイズしておく必要があります。

「防御」を選択した場合は「立ち防御」「座り防御」いずれかを選択します。
「立ち防御」上段と中段を防御し、
「座り防御」は下段を防御しつつ上段攻撃をかわす事ができます。
防御に成功するとダメージは最小の1で済み、耐久力が若干回復します。

「挑発」は挑発です。特に意味はありません。
CPU相手の自己満足の世界ですが、カッコヨク決めてください。


設定・シナリオ
西暦2022年師走。
世紀末の英雄にして、史上最強の格闘家であり、
大富豪の“伊吹剛鉄”を父に持つ“虎正”は、
その剛鉄から三年以内に恋人を作るよう命令された。

少しばかり、ストイックに育て過ぎたのか、
まったくもって色事に無関心の息子を危惧した親心からだそうな。
しかも、恋人にする女性は、すべからく強くなければならないというのだ。
さらに、来年から通うことになっている私立剛鉄学園（学園長は当然、剛鉄だ）には、
全国各地からスカウトしてきた猛者達が揃っているというのだから、はた迷惑な話しである。
一応、最強格闘家である剛鉄の息子だけに、虎正の強さは並みじゃなかった。
それを知ってか、剛鉄は、虎正の力を少しばかり封印すると云って、逃げる隙も与えず、
いっきに間合いを詰めると必殺のベリートゥベリー（＝フロントスープレックス）で轟沈……。
剛鉄の思惑通り、身体はボロボロになり、力のほとんどを封印されてしまった虎正。
こうして、除夜の鐘と、虎正の呻き声が「うーん……うーん……」と鳴り響く中、
伊吹家の2023年が幕を開ける。

それは、伊吹虎正の新しい学園生活（闘い）のゴングでもあった……。


設定としては一種のラブとバトルが折衷されたコメディタッチなノリなのですが、
あまりゲームに反映されているとは言い難いのが惜しい。

せっかく「全国各地からスカウトしてきた猛者達が揃っている」とあるのに
このゲームだと戦闘はイベント戦闘のみで、
しかもその殆どが各ヒロインのシナリオ終盤に集中しているので戦闘の回数は決して多くないのです。
（まあ自分とのシャドースパーリングなんかは何度もあるのですが）

鍛えた主人公を使って自由に他生徒に喧嘩を売ってみたかったので
戦闘がもっと多ければ個人的には良かったですねw


あと個人的に年上の先輩属性持ちなんで
数少ないヒロインの最大勢力が年上の先輩という極端なバランスには満足していますw

一つ文句をつけるなら必ず親父の剛鉄とくっついて主人公の義理の母親になってしまう
佐山桜子（やっぱり先輩）が攻略できればなお良かったんですけど。
オープニングでは完敗した「世紀末の英雄」「史上最強の格闘家」と称される父親と
一人の女性を巡って争ったすえに最終的に撃破するって
育成要素があるゲームとして考えてもカタルシスがあるというか
主人公を育て甲斐がある展開だと思うんで残念ですね。


独創性
恋愛育成SLG風ゲームというアプローチはまあユニークな部類に入るかなと思います。

しかしアアルのゲーム制作能力の限界点を
考慮にいれた上でたてられた企画ではなかったようで
辛うじて形にできただけという印象です。
形にしたのが精いっぱいなので、
ゲームとしてどう面白くできるかまでは考える余裕がなかったという風。

一方2D格ゲーをコマンド戦闘にデフォルメ化した戦闘パートの出来はなかなかな分、
それを楽しむ機会が少ないのは惜しい。


そういえば、この『Lag．』にしても『LOFTY FORM』にしても
このころのアアルって自分の技術力やらゲーム制作の諸ノウハウを考慮しない、
かなり無謀な企画ばかりを通している印象があるんですが。
（この『Lag．』にしてもどう見ても恋愛育成SLG風ではなくて、
普通の育成SLGにした方がマシっぽいにも関わらず
それにすらしてないですから病状は深刻だった思わざるをえません。）
社長とかが他の社員の意見を聞かないで無茶な企画のゴリ押しでもしていたんでしょうかね。


全般
最初にぶっちゃけちゃいますが、このゲームは退屈な時間が長いですw

なぜ退屈かと言うと、
先にシステムで書いた一か月の内容を見てもらえば分かりやすいのですが
トレーニングの選択の後、四回も誰に会いに行くかのコマンドを選ぶしかやる事がないんです。
しかもそれを2年にわたって繰り返すのですから、内容が単調になりがちなんですよね。

戦闘パートは結構気に入っているので、
それを中心したゲームデザインならもっと映えたであろうゲームです。

点数はオマケして７点。一応全員分クリアしてはいるんで、楽しんだってことでまあいいかなと。
自分自身は割と気に入っていますが、決してオススメは致しません（笑）


得点７点

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