憎しみ、欲望、そして快楽――。君に出逢わなければ、
この狂気に魅せられることもなかった……。
カレイドスコープ
〜万華鏡〜
Ange

操作性
メッセージウィンドウに出現する文字を読み進めて
時折出現する選択肢を選ぶタイプのADVゲーム。
いわゆるノベルADVを呼ばれるタイプですね。
1クリアまでの時間は2時間ほど。

Caps Lockキーをロックするとメッセージ表示が速くなります。
Ctrlキーで全スキップ。
読み返しにあたる機能はありません。


音楽
オルゴールを意識したような曲が多かった気がします。
退廃的なお屋敷を舞台にしているので、それ相応なイメージ。

ただ曲名を覚えるような曲は無かった気がします。


システム
ノベルＡＤＶと言うことで操作性の項目で書いたこと以上に、特筆するようなのことはありません。
場所移動もありますが選択肢を選ぶ程度です。


設定・シナリオ
翔吾が大学三年の夏休みを返上してアルバイトに費やす事を決めたのは、
恋人未満の由花とのデート資金稼ぎだった。
バイト先の綺堂院家には人形のように感情を閉ざした一人娘の花音がいた。
幼い頃母親に捨てられ、自分を含めた全てに失望し、心を閉ざした花音。
そんな花音と接してしていくうちに次第に惹かれはじめる。
由花を愛していたはずなのにと思うのだが、どうすることもできない感情があった。

また、綺堂院家が花音の父でもある当主を失ってから、欲望と憎しみで歪みはじめていたことを知る。
その狂気の渦に、翔吾もまた絡みとられていく――。


ストレートに感想を述べると微妙。
思わせぶりではあるのですが、思わせぶりなだけで最後までいってしまう、というのでしょうか。

このゲームでは選択肢によってキャラクターの立場が簡単に変わるのですが
一本筋が通った設定があるシナリオなのか、
選択肢によって変化する展開のバリエーションを楽しませるのか、
その位置づけが中途半端だったように思えます。

僕もキャラクターの立場の変化があまりに唐突すぎて混乱した挙句、
誰までが悪事に加担していた人なのかが最後まであやふやなまま終わってしまいました。
主犯は毎回同じだったのでともかくとしても、従犯は誰だったんだろう……。

選択肢によってキャラの立場が変わる事に加え、
作中での各人が脈絡なしに胡散臭い行動をとり過ぎだったせいでしょうね。

選択肢によってキャラクターの立場が変わるということ
そのものに否定的な立場ではないのですが
このゲームはなかなか肯定的に捉えにくい部分があります。
シナリオ担当の五月みゆさんがスタッフルームでゲームシナリオは初チャレンジといっているのですが
製作陣の側でもストーリーを整理しきれていない感じなんです。
そのせいか、プレイヤーに提示する情報もうまく取捨選択できておりません。

それがお屋敷の中で狭い人間関係を構築しているにもかかわらず
展開に脈絡がなくまとまりに欠けてしまった事態を招いたのではないでしょうか。


独創性
特になし。
謎めいたお館とその住人、ＡＤＶの王道ですね。

ちなみに、先に感想文を上げている『てのひらの雪』は、
この『カレイドスコープ』の次にAngeが発売したソフトなのですが
ストーリーが随分とわかりやすくなっていたので
『カレイドスコープ』での失敗を教訓にしたのかもかも。


全般
ノベルゲーということでストーリーしかウリが無い種類のゲームなのですが
肝心のストーリー部分で悪い意味で小さくまとまってしまったゲームです。

オマケのスタッフルームを見ると、
製作終盤までバグ満載だったり回想モードがボツになったり、苦しんだ事が伺えるので、
そういう事情も影響したのかもしれませんね。


得点５点

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