スレイヤーズシリーズの獣神官(プリースト)ゼロス

スレイヤーズシリーズの
獣神官プリーストゼロス

獣神官(プリースト)ゼロス/ゼロスを問い詰めようとする/解説役/敵でも味方でもない人/
面白がり屋/ゼロスは扱いが難しいキャラクター/「秘密です」の元ネタ？



自称・天才美少女魔道士リナ＝インバースを主人公とする
ライトノベル及びアニメシリーズ作品「スレイヤーズ」の獣神官プリーストゼロスについて。

「スレイヤーズ」を原作としたＲＰＧ『スレイヤーズわんだほ〜』(以下『わんだほ〜』)に
ゼロスが登場するのですが、明らかに出番が少ないです。
「スレイヤーズわんだほ〜　公式攻略ガイドブック」にも、目次ページに「出番の少ないゼロス」、
ゼロスのキャラクター紹介に「出番少ない」とハッキリ書かれる始末で。



とはいえこの出番の少なさは、リナがゼロスの正体を知っている状態でゼロスが登場するスレイヤーズ作品、
原作小説の「スレイヤーズ15　デモン・スレイヤーズ！」、
テレビアニメシリーズの「TRY」「REVOLUTION」「EVOLUTION-R」、劇場版アニメの「ぷれみあむ」、
マンガ作品の「ライト・マジック」や「ファルシェスの砂時計」、更には『スレイヤーズ(SFC)』(以下『SFC』)を見る限り、
『わんだほ〜』のストーリー構成のミスというよりも、ゼロスというキャラクターの扱いの難しさに起因するものだと思われます。

『わんだほ〜』を含め、これら作品では、ゼロスの扱いにある程度のパターンがあって、
『わんだほ〜』を軸にパターンを挙げていくと、
「ゼロスを問い詰めようとする」「解説役」「敵でも味方でもない人」「面白がり屋」。


▲


ゼロスを問い詰めようとする




    

        遊園地風のダンジョン「ゴブリンランド」にて
【ゼロス】
「あいかわらずですねぇ、リナさん」
【リナ】
「あーっ！　あんたはゼロス！」
【リナ】
「どっからわいてでたっ！？」
【リナ】
「なにしにきたっ！？」
【リナ】
「なにをたくらんでるのっ！？」
【ゼロス】
「もちろん遊びにきたんです」
【ゼロス】
「なーんてね。
　あ、列が動きましたよ。では、お先に」

        【リナ】
「ゼロス！　あんた、まだ、
　あたしたちの周りをかぎ回ってたのねっ！？」
【ゼロス】
「どちらかといえば
　今回は味方かな、と思うんですけどねぇ」
リナ
「どーゆーことっ！？」
【ゼロス】
「ヴィオラさん、でしたっけ。
　ちょっとあの方に用がありまして」
【リナ】
「ヴィオラに、なんの用があるっていうの？
　彼女はただの人間でしょ？」
【リナ】
「・・まあ、
　多少マトモじゃないのは確かだけど」
【ゼロス】
「ふっふふ〜ん、それは・・秘密です」
【リナ】
「ちょっと、待ちなさいよっ！！」

    

    

        『スレイヤーズわんだほ〜』より
    





ゼロスを一目見るなり「なにしにきたっ」と問い詰めるリナ。
『わんだほ〜』にもあるように、問い詰めに対しては「それは、秘密です」と答えるのがお約束で、
そのあとすぐにいなくなるのも定番。

何しろ「スレイヤーズ ライト・マジック ２」の「スレイヤーズ ライト・マジック大百科」に、
「リナ一行の前に現れては意味深な行動をくり返すゼロス。
そして『それは秘密です♪』の一言で逃げてしまうのだ」と書かれるほど。

ゼロスを一目見るなり問い詰めるという行動パターンは、
フィブリゾ絡みの一件が決着する「スレイヤーズ８　死霊都市の王」までの原作小説本編、
テレビアニメ「スレイヤーズNEXT」(以下「NEXT」)にも既に見られますが、
リナがゼロスの正体を知っているスレイヤーズ作品では、それが徹底されている印象です。
（以下、アニメのセリフは、全てテープ起こし）




    

        「富士見ファンタジア文庫　スレイヤーズ15 デモン・スレイヤーズ！」
        「なるほど……ね……
　それで？
　今度は何考えてるわけ？
　サイラーグに何があるの？」
「それは――」
「ヒミツ、ってのはナシよっ！
　言ってもらうわよ。
　これは取り引きよ！」

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第4話
        【ゼロス】
「おや。これは皆さんこんな所で会うなんて、いや奇遇ですねえ」
【リナ】
「ゼロス！　やだーホント、これも何かの縁ねー」
「――なんて言うとでも思ったのか、このスットコ神官！
あんたねえ！　いったい何度あたしを利用すれば気が済むのよー！」
【ゼロス】
「あれ？　わかっちゃいました？」
【リナ】
「わからいでか！」
（中略）
【リナ】
「ゼロス。今度ばかりは、アンタの知ってる情報も、素直に吐いてもらうわよ」
【ゼロス】
「僕の知る限り敵の目的は３つ」		
    

    

        「スレイヤーズTRY」より第7話
        【ゼロス】
「それじゃあ、僕はこの辺で一時引き上げさせてもらいますね」
【リナ】
「ああ、ゼロス！　アンタ一人だけ逃げるつもり!?」
【ゼロス】
「そうじゃありませんよ！　でも、ここは火竜王の神殿。
魔族の僕がいつまでものんびりしているわけにいかないでしょう？　それじゃ！」

    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第4話
        【リナ】
「ちょっとゼロス。なんであんたがこんな所にいるのよ？」
【ゼロス】
「そんなの、言うまでもないじゃありませんか」
【リナ】
「ん？」
【ゼロス】
「それは、ヒ・ミ・ツです」		
    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第5話
        【リナ】
「ちょっとゼロス。なんでアンタここに」
【ゼルガディス】
「ゼロス、貴様……」
【ゼロス】
「おやおや皆さん、お久し振りです」
（中略）
【リナ】
「ちょっと待ちなさいよ。
アンタがここにいる以上、レゾの魂の眠る壺は、ここにあるんでしょ？
アンタら魔族もそれを狙ってきたんじゃないの？」
【ゼロス】
「それが、ちょっと違うんですよねえ」
【ゼルガディス】
「どういう事だ。魔族は何を企んでいる」
【リナ】
「何がどうなってるの？」
【ゼロス】
「いやあ、まさにそれですよ。
何がどうなってるのか、それを調査するのが僕のお役目でして。
ただ一つ言えるのは、
コトによると魔族にとってもマズい事になるかもしれないということ」
【アメリア】
「それって一体？」
【ゼロス】
「それはヒミツです」

    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第6話
        【ゼロス】
「いやあ皆さん。こんな所にいらっしゃったんですか」
【リナ一同】
「ゼロス！」
【リナ】
「んぬー！！　やっぱりアンタか！！
魔族の仲間なんて使って、いったい何企んでんのよ！！」
【ゼロス】
「は？　仲間？」
【リナ】
「グドゥザとデュグルドの事よ！　まさか知らないとは言わせないわよ」
【ゼロス】
「グドゥザさんとデュグルドさん……。知りません」
【リナ】
「え、知らない？」
【ゼロス】
「はい。生憎そのお二方の名前は、存じ上げませんねえ」		
    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第11話
        【ゼロス】
「おやおや、お困りのようですねえ」
【リナ】
「出たわねお気楽魔族。
今日という今日は、冥王の壺のこと話してもらうわよ」
【ゼロス】
「すみませんねえ。あいにくですけど、それはやっぱりヒミツなんです」

    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第12話
        【リナ】
「そうゼロス。アンタの行動も謎だったわよね？」
【リナ】
「どうして魔族であるアンタが、レゾの魂を見張っていなきゃならなかったのか」
【ゼロス】
「見守ると言いますか、見極めるのが今回の僕の第一の使命でしたから」
【リナ】
「それはゼロス、アンタも同じでしょ？
アンタだって何の目的もなしに、アタシ達のそばにいるわけないんじゃない？」

    

    

        劇場版「スレイヤーズぷれみあむ」
        【ゼロス】
「よろしかったら、ご説明しましょうか？」
【ゼルガディス】
「ゼロス。お前こんな所で何してる？」
【ゼロス】
「それは、ヒ・ミ・ツです」		
    

    

        「角川コミックスドラゴンJr.　スレイヤーズぷれみあむ」
        【ゼルガディス】
「そりゃどうも……」
「で あんたはここで 何やってるんだ？」
【ゼロス】
「ふ……」
「それは……」
【ゼロス】
「ヒミツです」
【リナ】
「ふっ……」
「でもゼロス……」「ここで何してんのって訊いても……」
【ゼロス】
「はいもちろん……」
「ヒミツです♡」		
    

    

        「角川コミックス・エース　スレイヤーズ ライト・マジック 1」
        【ゼロス】
「どーもはじめまして♪」
【リナ】
「あんたゼロス!?　何でこんなところにいるのよ!?」
【ゼロス】
「おや？　あなた何故私の名前を知ってるんです？」
【リナ】
「な 何言ってんの？　あんたまたふざけてるんじゃ」
【ゼロス】
「いえいえふざけてなどいませんよ」
「はじめまして魔法使いさん」		
    

    

        「角川コミックス・エース　スレイヤーズ ライト・マジック 2」
        【リナ】
「そうよ！　あいつを倒せる活路がね!!」
「さぁいくわよゼロス!!」
【ゼロス】
「あ お断りします」
【リナ】
「なんでよ!!」
【ゼロス】
「なんでって…もう借りは返しましたし」
「それに…」
【リナ】
「何!?」
【ゼロス】
ここから先は…秘密です♪
【ゼロス】
「では」
【リナ】
「って気になる去り方するな―――!!」		
    

    

        「角川コミックスドラゴンJr.　新スレイヤーズ ファルシェスの砂時計」
        【リナ】
「んで何しに来たのよ」
「今あんたにかまってるヒマないんだけど」
【ゼロス】
「つれないなあ」
【リナ】
「……で！　本当の目的はなんなのよ？」
「あんたがいる時点でよからぬ話でしょうけど」
【ゼロス】
「……」「お仕事ですよ」
【リナ】
「……今度はあたしに何をさせようっての？」
【ゼロス】
「それは」「秘密です」
【リナ】
「……どういうつもりなのよ」
（中略）
【リナ】
「だったら何をそんなに焦ってんのよ」
「いつもは煙けむに巻くような物言いしかしないのに
今回は終始お喋りじゃない」
【リナ】
「自分で手を下さない所を見るとそっちに害はないみたいだし」
「大方 期間限定の御宝を掠め取ろうって魂胆かしらね」
【ゼロス】
「それは秘……」		
    





ゼロスはリナやゼルガディスに限らず、原作小説のガーヴやミルガズィア、「NEXT」のガーヴ、
「スレイヤーズTRY」(以下「TRY」)のアルメイスにも、問い詰められていますね。




    

        「富士見ファンタジア文庫　スレイヤーズ15 デモン・スレイヤーズ！」
        「……しかし……」
　ミルガズィアさんが言う。
　真剣なまなざしで、油断なくゼロスを見すえたままで、
「やっと見つけた、と言っていたが……
お前までが動きだしたということは、よほど大きな計画だとみえる。
　何を企む？　パシリ魔族よ？」
（中略）
「ともあれ温室を修理した以上、これで借りとやらも消えました。
　ですから――
　僕たちが何を考えているのかは――」
　人さし指を口もとに当て、
「秘密なのか？」
　一瞬早く。
　横手から、ガウリイにさらりと言い放たれて。
「…………………………」
　ゼロスは一瞬、泣きそうな表情を浮かべ――
「――ガウリイさんのいぢワるッ！」
　子供のよーな捨てゼリフを残し、虚空を渡って姿を消した。

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第21話
        【アルメイス】
「ゼロス、なぜお前が一人でここにいる」
【ゼロス】
「これはこれはアルメイスさん。ゲートの干渉はよろしいんですか？」
【アルメイス】
「お前に出し抜かれては意味がないのでな」
【ゼロス】
「おや……あとの事は最後の武器を手に入れてから――でしょ？」
【アルメイス】
「お前とて、おとなしくエルロゴスの力になるつもりなどあるまいに。
貴様……いったい何を企んでいる」
【ゼロス】
「企むだなんて僕はただ……」
【アルメイス】
「ただ？」
【ゼロス】
「おっとこれ以上は――秘密です」

    





▲


解説役


    
    
    
        【リナ】
    「あの影は――魔族なの！？」
    【ゼロス】
    「ええ、あれは中級魔族トリガルヴです」
    【ゼロス】
    「あれ自体の攻撃力は微々たるものですが、
    　自分より精神力の弱い魔族を
    　操る能力があるんですよ」
    【ゼロス】
    「まあ、たいした力じゃないんですが…」
    		
    
    
    
    
        『スレイヤーズわんだほ〜』より
    
    



リナ達に状況説明や出来事の解説をするゼロス。
これも原作小説８巻までや「NEXT」にも見られますが、魔族のくせに人間界の伝承や伝説にも詳しかったり。
そして解説をするだけして、すぐにいなくなるというのもパターンの１つです。




    

        「スレイヤーズNEXT」より第11話
        【ゼロス】
「ハハハハ、嘘を言ってはいけません」
「私が少々教えてあげましょう。クレアバイブルとは何かを」

    

    

        「スレイヤーズNEXT」より第13話
        【ゼロス】
「私は通りすがりの謎のプリースト・ゼロスと申します。
あなたは魔族にさらわれて、今まで眠らされていたようですね」

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第4話
        【リナ】
「つまり、魔族を裏切ったガーヴ同様、
アンタはガーヴの残党であるヴァルガーヴを追っていた。そうよね？」
【ゼロス】
「あ、はい……。でー、一方ヴァルガーヴは、自分のあるじの復讐を果たそうと、
ガーヴを滅ぼしたリナさんを狙っていたわけです」
【リナ】
「ゼロス。今度ばかりは、アンタの知ってる情報も、素直に吐いてもらうわよ」
【ゼロス】
「僕の知る限り敵の目的は３つ」

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第6話
        【リナ】
「それよりゼロス、この文字読めない？」
【ゼロス】
「え？　どれですか？」
【ゼロス】
「ふーむふむふむ……。なるほど……」
【ゼルガディス】
「な、なんて書いてあるんだ！？」
【ゼロス】
「遥かな古の時代、この地には高度な文明がありました」

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第9話
        【ゼロス】
「古来、この２つの国には魔道器を２つ揃えれば新たな道が開かれるという伝説がありまして、
それで両国とも何とかして、お互いの魔道器を手に入れたがってようですねえ」

    

    

        「スレイヤーズ REVOLUTION」より第4話
        【ゼロス】
「ですが、こんな話も残されていますね。タフォーラシア、一夜にして忽然と消えた伝説の街」
（中略）
【ゼロス】
「人々の間に残っているのは、そんな言い伝えです」
【ゼロス】
「これは……冥王様が使う技に、ちょっとだけ似ていますね」
【リナ】
「冥王って、あのフィブリゾ？」

    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第5話
        【ポコタ】
「どういう事だ!?　その中にレゾの魂はないってのは」
【ゼロス】
「あれ？　お忘れですか？」
【ナーマ】
「？」
【ゼロス】
「この壺は、そちらの方の魂を、本来の体からその鎧に移し替えたものなんですよ」
【ナーマ】
「えー？　ナーマちゃんのこと？」
【ゼロス】
「ナ、ナーマちゃん……？　ま、まあそういう事にしておきましょう、か」
【ポコタ】
「じゃあレゾの壺はどこにあるんだ！？　ここにないのかよ！」
【ゼロス】
「さあ、それはどこでしょうねえ」
【リナ】
「ちょっと!?　これってどういうこと!?」
【ゼロス】
「どういうことと言われましても、その鎧に移されていた魂が元の体に戻った、って事ですよ」
【リナ】
「ゼロス！　これはどういうこと!?」
【ゼロス】
「さあ……。予想外に僕やナーマさんまでいたので、引き上げたんじゃありませんかね。
一応挨拶だけはしていったようですし」

    

    

        「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第11話
        【ゼロス】
「ええ……。今、リナさん達を失うわけにはいきませんからねえ。魔王を討つために」
【ゼロス】
「いえ……、魔王の亡霊とでも言うべき代物」

    

    

        劇場版「スレイヤーズぷれみあむ」
        【ゼロス】
「よろしかったら、ご説明しましょうか？」
【ゼルガディス】
「ゼロス。お前こんな所で何してる？」
【ゼロス】
「それは、ヒ・ミ・ツです」

    

    

        「角川コミックスドラゴンJr.　スレイヤーズぷれみあむ」
        【ゼロス】
「……説明してあげましょうか…？」
【ゼルガディス】
「お前は……」
【アメリア】
「ゼロスさん!?」
【ゼロス】
「このタコたち…………」
「こうやって人間の恐怖と混乱の……」「“負”のオーラを集めているようですね……」		
    

    

        「角川コミックス・エース　スレイヤーズ ライト・マジック 2」
        【ゼロス】
「お困りの様ですねェ」
【リナ】
「お困りに決まってんでしょ!!」
【ゼロス】
「ならひとつイイことを教えてあげましょう」
【リナ】
「イイこと？」
【リナ】
「お金取る気じゃないでしょうね？」
【ゼロス】
「・・・」

    

    

        「角川コミックスドラゴンJr.113-3　スレイヤーズEVOLUTION-R」
        【ゼロス】
「チッ――　やはり腐っても力は魔王様ですか」
【リナ】
「ゼロス！ あんたがどうして魔王を！」
【ゼロス】
「確かに力は魔王様そのものです」「しかしアレは言葉も解せない程自我がなくなっている」
「どうやらリナさんの魂と触れた時 魔王様の意思の大部分がなんらかの力で消し飛ばされてしまったようですね」
【ゼロス】
「もはやあれは」
「魔王様の残り滓としか言えません」
【ゼロス】
「しかし力だけはひたすらに放出し続ける」
「相手がなんだろうと全力を以って破壊し尽くす」
【ゼロス】
「アレを竜族や人間に利用されてしまっては 我々としては非常に迷惑なんですよねぇ」

    





▲


敵でも味方でもない人




    

        【リナ】
「ゼロス！　あんた、まだ、
　あたしたちの周りをかぎ回ってたのねっ！？」
【ゼロス】
「どちらかといえば
　今回は味方かな、と思うんですけどねぇ」
【リナ】
「どーゆーことっ！？」
【ゼロス】
「ヴィオラさん、でしたっけ。
　ちょっとあの方に用がありまして」
【ゼロス】
「さあてと、僕の仕事はここまでです。
　あとはお任せしましたから」

        【ゼロス】
「いやー、そういうことになりましたか」
【ゼロス】
「ま、ぼくはどちらでもいいんですけどねぇ。
　偉い人たちは年のせいか、心配性で」
【リナ】
「いまごろ何の用！？
　もう、この件のカタはついたわっ！」
【ゼロス】
「それなんですがね、終わってないんですよ」
【リナ】
「そーゆーことなの。
　ダミアっ！　ヴィオラを守って！」
【ゼロス】
「さすがリナさん。察しがいいなぁ」
【ゼロス】
「でも、ぼくじゃないんですよ。
　ほぉ〜ら、危ないですよ、うしろ」

    

    

        『スレイヤーズわんだほ〜』より
    





その時々によって、リナを手助けしたりしなかったり。
またリナとゼロスの対決――と見せかけて、バトル無しというパターンも少なくありません。




    

        「富士見ファンタジア文庫　スレイヤーズ15 デモン・スレイヤーズ！」
        「……前に出会った時は、『今度出会った時は敵』みたいなこと言ってたけど？」
　沈黙したブラドゥにかわり――というわけでもないが、わたしはことばを投げかける。
　ゼロスはこちらに視線を送り、
「まあ、状況、というものは、変わるものですからねぇ。
　それに――
　別に、味方、というわけでもありませんし」
　しれっ、とそう言い放つ。		
    

    

        「スレイヤーズTRY」より第13話
        【フィリア】
「あなた、リナさんの仲間じゃなかったの！？」
【ゼロス】
「いいえ？　僕はあくまで、目的達成のために都合がいいからリナさんとご一緒していただけ。
忘れないでください。僕は魔族なんですよ」
（中略）
【ゼロス】
「今から僕はあなたの敵です」
【ヴァルガーヴ】
「最初からおまえは敵だーーっ！！」

    

    

        「スレイヤーズTRY」より第23話
        【エルロゴス】
「ふざけた事を。
この世界を滅ぼす事以外、キサマら魔族にどんな事情があるというのだ」
【ゼロス】
「魔族ゆえの事情ですよ。この世界を滅ぼすのは僕達魔族の役目ですから。
それをダーク・スターなんてヨソ者に勝手に壊されちゃ、たまりませんからね」
【エルロゴス】
「何だと!?」
（中略）
【ゼロス】
「全く……。世界を守るなんて魔族のガラじゃないんですけど、ねえ」
【シーリウス】
「ムチャをするな、エルロゴス」
【エルロゴス】
「うるさい。ゼロス、たった今からキサマと我らは敵だ」
【ゼロス】
「嫌ですねえ。僕は初めから仲間だなんて思っていませんよ」
【エルロゴス】
「ほざけ！」		
    

    

        「角川コミックス・エース　スレイヤーズ ライト・マジック 2」
        【リナ】
「そうよ！　あいつを倒せる活路がね!!」
「さぁいくわよゼロス!!」
【ゼロス】
「あ お断りします」
【リナ】
「なんでよ!!」
【ゼロス】
「なんでって…もう借りは返しましたし」
「スレイヤーズ ライト・マジック大百科」より
獣神官プリースト ゼロス
敵か味方かイマイチよくわからないゼロス。その
正体は、リナたちがいた世界の魔王シャブラニグ
ドゥの腹心……の部下なのだ。中間管理職。		
    

    

        「角川コミックスドラゴンJr.113-3　スレイヤーズEVOLUTION-R」
        【リナ】
「ゼロス あんたまで!!」
【ゼロス】
「まったく……　今回はホント出血大サービスですねぇ！」
「これ以上やって半身だけで済んだらラッキーですよ！」		
    





▲


面白がり屋


    
    
    
        【ゼロス】
    「ま、いいでしょう。
    　今回は高見の見物と洒落こませていただきます」
    		
    
    



上述の「敵でも味方でもない人」とも関連してくる事柄で、これを言い出す時はいわゆる「中立」状態です。




    

        「富士見ファンタジア文庫　スレイヤーズ15 デモン・スレイヤーズ！」
        「まあね。
　あんた、『中立』って言ってたでしょ。
　けどあんたの場合、それって、『どちらにも手は出さないし、貸さない』って意味じゃなくて、『僕は横から、他人ひとごととして、面白おかしく見物させてもらいます』って意味でしょ」
（中略）
「魔族が減るのは面白くないから乱入した……って言ってたけど……
　面白がりのあんたとしては、せっかくの趣向が台無しにされる方が、もっと面白くない。
（後略）

	

	

		「スレイヤーズ EVOLUTION-R」より第11話
		【リナ】
「どうせ教えてくれないんだろうけど。結局アンタの目的は何なの、ゼロス」
【ゼロス】
「だから、それはヒミツです」
【リナ】
「アンタ自身壺を狙っておきながら、アタシ達に神殿の場所を教えたりしてどうしたいのよ！？」
【ゼロス】
「そうですねえ……昔のよしみもありますし。しいていえば面白いから――ですかねえ」

	

    

        劇場版「スレイヤーズぷれみあむ」
        【ゼロス】
「思ったとおり、面白いものが見られた」		
    

	

		「角川コミックスドラゴンJr.　スレイヤーズぷれみあむ」
		【ゼロス】
「面白いものが……」
「見られそうですね……」
【ゼロス】
「あれ??」「何か勘違いしてませんか？」
「僕はただ状況を面白くしたかっただけですよ」
【【ゼロス】
「ふふ……
「やっぱり面白かった」

	

	

		「角川コミックスドラゴンJr.113-3　スレイヤーズEVOLUTION-R」
		【ゼロス】
「やあ皆さん　こんな所にいらしたんですか〜」
【ゼロス】
「面白いモノを見たので教えしようとリナさんたちを捜していたんですが…」「何かありました？」

	





▲


ゼロスは扱いが難しいキャラクター


ゼロスの登場がある程度パターン化しているのは、人気キャラクターながら正体がリナ達に割れている上に、
強過ぎる（リナ達がまともに戦っても、まず勝てないほどの実力者）・魔族絡みの事情に詳し過ぎるためでしょう。

とはいえゼロスは魔族ですから、「スレイヤーズ８　死霊都市の王」でリナが去り際のゼロスに言っているように、
「もし会うとすれば敵同士――あるいは命の取りあい」になってもおかしくないのですが、
ゼロスは人気キャラクターですので、リナ達と完全に敵対させて、決着をつける展開は難しいのでしょう。

原作小説からして、ゼロスが再登場する「スレイヤーズ15　デモン・スレイヤーズ！」において、
ゼロスは「まあ、状況、というものは、変わるものですからねぇ」と
「小説吉田学校」とそのマンガ版「歴史劇画 大宰相」の佐藤栄作みたいな事を言ってますし。



    

        


    

        佐藤は、冷然と、押し黙ったまま、手で、前尾に椅子をすすめた。
　「実は、前尾君……」
　その語調も、冷ややかであった。
　「今回は……内閣改造を見送ることにしたよ」
　あまりにも一方的ないい方であり、いい分であった。
前尾は、思わず息をのんだ。ちょっとのあいだ、言葉もでなかった。
ようやく、前尾はこういった。
　「それでは、まるで、約束が違いはしませんか……」
　「状況が変わったからな」
　臆面もなく、佐藤はそう答えた。
消沈する気持ちに鞭をうちながら、前尾は反論した。
　「あなたの四選は、達成をされた。
　状況は、変わってはおりませんでしょう」
　「いや、変わった」

    

    

        「角川文庫4714　小説吉田学校 第三部 角福火山」より

    



        


    

        【佐藤栄作】
「じつは前尾君……」
「今回は、内閣改造を見送ることにしたよ……」
【前尾繁三郎】
「!!」
【前尾繁三郎】
「そ、それではまるで、約束が違いはしませんか!?」
【佐藤栄作】
「状況が変わったからな。」
【前尾繁三郎】
「あなたの四選は、達成をされた！
　状況は変わってはおりませんでしょう!?」
【佐藤栄作】
「いや、変わった！」

    

    

        「講談社＋α文庫　歴史劇画 大宰相　第四巻」より

    



    





そんな中、ゼロスの扱いで異彩を放つのが『SFC』。
初登場時こそチョイ役程度の出番しかありませんが、
ゼロスは最終的にリナ＝インバースのコピー・ホムンクルスである主人公と戦い、倒される展開です。

「スレイヤーズりーでぃんぐ リナ＝インバース魔道大全」で原作者の神坂一さんが、
「水竜王の騎士」と「スレイヤーズTRY」と並んで『SFC』を「パラレルな第三部」として挙げているのは、
この辺りに由来しているのかもしれません。


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ゼロスの「秘密です」の元ネタ？


話は変わりますが、色々と調べているうちに気がついた事として、
ゼロスのセリフ「それは秘密です」って、もしかしてテレビ番組「それは秘密です!!」が元ネタなのかなーと。

同番組は1975年から1987年までの放映で、
スレイヤーズシリーズの原作者の神坂一さんは1964年生まれだそうです。

「ワーズワースの登場人物 - 元ネタ編 補足」で書いたように、
『ワーズワース』には1970年代前半のマンガ・アニメ作品等々のパロディが多いですが、
1999年発行の「ワーズ・ワース　完全ガイド」に蛭田昌人さんが「私、来年で40歳ですけど」と述べており、
この発言から逆算すると蛭田さんは1960年生まれという事になります。

つまり1970年代前半のマンガ・アニメには、蛭田さんにとってティーンエイジャーの時期の作品。
同じように、テレビ番組「それは秘密です!!」が放映され始めたのは、
神坂一さんがティーンエイジャーの頃ですから、元ネタと考えても不自然ではないのではないでしょうか。


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関連感想文
スレイヤーズわんだほ〜(PS)
スレイヤーズ(SFC)
ワーズワース(PC-98)


参考資料
構成・執筆/(有)エスティフほか『ドラゴンマガジン・ゲームコレクション　スレイヤーズわんだほ〜 公式攻略ガイドブック』富士見書房　1998年
佐々木心『スレイヤーズ ライト・マジック 2』角川書店　2009年
神坂一『富士見ファンタジア文庫20-16　スレイヤーズ8 死霊都市の王』富士見書房　1994年
神坂一『富士見ファンタジア文庫20-34　スレイヤーズ15 デモン・スレイヤーズ！』富士見書房　2000年
（テレビアニメ）『スレイヤーズTRY』　1997年
（テレビアニメ）『スレイヤーズ EVOLUTION-R』　2009年
（劇場版アニメ）『スレイヤーズぷれみあむ』　2001年
作画/トミイ大塚『角川コミックスドラゴンJr.　スレイヤーズぷれみあむ』角川書店　2002年
佐々木心『角川コミックス･エース　スレイヤーズ ライト･マジック 1』角川書店　2009年
原作/神坂一、作画/旭『角川コミックス ドラゴンJr.　新スレイヤーズ ファルシェスの砂時計』富士見書房　2008年
（テレビアニメ）『スレイヤーズ REVOLUTION』　2008年
作画/氷樹一世『角川コミックスドラゴンJr.113-3　スレイヤーズEVOLUTION-R』富士見書房　2009年
戸川猪佐武『角川文庫4714　小説吉田学校 第三部 角福火山』角川書店　1981年
さいとう・たかを　原作/戸川猪佐武『講談社＋α文庫　歴史劇画 大宰相　第四巻――池田勇人と佐藤栄作の激突』講談社　1999年
神坂一　編/ファンタジア文庫編集部『富士見ファンタジア文庫1485　スレイヤーズりーでぃんぐ リナ＝インバース魔道大全』富士見書房　2009年
構成・ゲーム解析・執筆/apocrypha『エルフ監修　ワーズ・ワース　完全ガイド』辰巳出版　1999年

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